このお取引きが完了したとき、私はいろいろ考えさせられました。それは、今の私は形作っていると言ってもいいほどに。
まず、私の提案は間違っておらず、お取引き自体も、売主様にとっていいものだったと思いっています。実際に、元々販売を行っていた会社さんは、査定を誤っていたし、私が担当してからも、当初1ヵ月は何の音沙汰もなく、その後、初めてお問い合わせがあった方が購入されたので、今回の買主様が現れなかったら、販売が長期化ないし、売るためには価格改定が必要だったかもしれない。
娘さんやそのご家族は大変喜ばれている。お母様も売買契約がまとまったときは喜ばれていた。けど、それは、自身を心配するためにいろいろ動いていた娘さんに気を遣ってのものだったのではないか。本当は売りたくないのに、娘さんの気持ちを優先されたのではないか。いずれは手放さなくてはならないとわかっていても、所有・管理を始めてから約30年弱の愛着が押し寄せてきて、気持ちの整理がつかなかったのではないか。
このようなことが延々と頭をもたげてしまい、おそらくこれが、今回のお取引きで感じたモヤモヤの正体だと思っています。
ただ、不動産売却の仲介である私にできることは、依頼をいただいたことに誠実に向き合い、不動産売却について、売主様が抱く理想を限りなく現実に近づけることに他なりません。
そして、そこには、売主様にとって、何物にも代え難い【愛着】があるということを忘れずに、対応するということしか、私にはできません。
ご依頼をいただいた際には、全力を尽くす。売却するために、知識・経験面で力及ばないことがあれば、知っている人に頭を下げたり、恥をかいたりすることは、私にとってはたやすい御用。それが、売主様にとって、ベストな提案に繋がるのであれば。
私たちのような売買仲介営業にとっては、売り・買いを何度も経験していて、成約することが “正” のような考え方になることもあるかと思いますが、売買仲介営業を行っている方は、一度立ち止まって、ベストな提案を行うという原点と、今自分がやっていることに乖離がないか、改めて考えてみることも必要ではないでしょうか(特に若い人。勘違いしている人、散見されます)。
そのような提案、動きができる集団になることが、私たちメイヴスが掲げる売買仲介会社としての理想像です。弊社スタッフに、この思いを感じることがなければ、私が強く指導しますので、何なりとお申し付けください。
誠実さと謙虚さ、そしてフレッシュさを失わないように、今後も営業していきたいものです。思い出話…長くなりました…